マイホームの売却は、多くの方にとって人生で何度も経験するものではありません。そのため、「何から始めればいいのかわからない」「売却後にトラブルにならないか心配」という方も多いでしょう。
納得のいく売却を実現するためには、事前に売却計画を立てること、市場や手続きについて十分な情報収集を行うこと、そして売主として負う法律上の責任を理解しておくことが大切です。
この記事では、マイホームを売却する前に確認しておきたい「計画」「情報収集」「売主の法律上の責任」の3つのポイントについて、初めて売却する方にもわかりやすく解説します。
1.売却前に「計画」を立てる重要性

1-1.売却の目的を明確にする
マイホームを売却する際は、最初に「なぜ売却するのか」という目的を明確にすることが大切です。売却の目的によって、適切な売却方法や価格設定、売却スケジュールが変わるためです。
例えば、住み替えであれば新居の購入時期との調整が必要になります。転勤や転職が理由であれば、引っ越し日までに売却を完了させるスケジュールを立てることが重要です。また、相続した不動産の売却であれば、相続登記や税金の確認も必要になります。
売却目的の例としては、次のようなケースがあります。
- 住み替えのため
- 転勤・転職のため
- 相続した不動産を整理するため
- 離婚に伴う財産整理のため
- 老後資金を確保するため
- 住宅ローンの返済負担を軽減するため
- 空き家の維持管理が難しくなったため
目的が明確になれば、「できるだけ高く売りたい」のか、「早く現金化したい」のかといった優先順位も整理できます。
例えば、高値での売却を重視する場合は時間をかけて買主を探す「仲介」が適していることが多く、一方で早期売却を優先する場合は「不動産会社による買取」が選択肢となることもあります。
売却活動を始める前に、自分や家族が何を優先したいのかを話し合い、目的を明確にしておくことで、後悔の少ない売却につながるでしょう。
1-2.売却スケジュールを決める
マイホームの売却を成功させるためには、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。不動産は売り出してすぐに買主が見つかるとは限らず、査定から引き渡しまで数か月かかることも珍しくありません。
一般的な売却の流れは、「査定依頼」「媒介契約」「販売活動」「売買契約」「決済・引き渡し」の順に進みます。物件の立地や価格、市場の状況によって異なりますが、売却開始から引き渡しまで3~6か月程度を目安に考えておくと安心です。
特に住み替えの場合は、現在の住まいの売却と新居の購入タイミングを調整する必要があります。売却が先になるのか、新居の購入が先になるのかによって資金計画も変わるため、事前に不動産会社へ相談しておきましょう。
また、住宅ローンの完済や抵当権抹消登記、引っ越しの準備などもスケジュールに組み込んでおく必要があります。希望する引き渡し日が決まっている場合は、逆算して売却活動を始めることが大切です。
スケジュールの目安
- 1~2週間:不動産会社へ査定を依頼・売却価格を検討
- 1週間程度:媒介契約を締結
- 1~3か月程度:販売活動・内覧対応
- 1~2週間程度:売買契約の締結
- 1~2か月程度:決済・引き渡し・引っ越し
売却を急ぎすぎると、十分な販売活動ができず、希望価格より低い金額で売却せざるを得ない場合があります。一方で、売り出し価格が相場とかけ離れていると、売却期間が長引く可能性もあります。
売却目的や希望時期を踏まえ、無理のないスケジュールを立てることが、納得のいく売却につながります。
1-3.売却にかかる費用を把握する
マイホームを売却する際は、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や税金など、さまざまな費用が発生するため、事前に資金計画を立てておくことが大切です。
特に住宅ローンが残っている場合は、売却代金でローンを完済できるかどうかを確認しておく必要があります。売却価格だけで判断せず、諸費用を差し引いた後に手元へ残る金額を把握しておくことで、住み替えや次の資金計画も立てやすくなります。
1-4.主な売却費用
仲介手数料
不動産会社へ仲介を依頼して売却が成立した場合に支払う成功報酬です。法律で上限額が定められており、売却価格に応じて計算されます。
印紙税
売買契約書を作成する際に必要となる税金です。契約金額によって印紙税額が異なります。
抵当権抹消登記費用
住宅ローンを完済している、または売却時に完済する場合は、抵当権を抹消する登記が必要です。登録免許税のほか、司法書士へ依頼する場合は報酬も発生します。
住宅ローンの繰上返済手数料
金融機関によっては、住宅ローンを一括返済する際に手数料が必要となる場合があります。事前に借入先へ確認しておきましょう。
測量費・境界確認費用
土地や一戸建てでは、境界が不明確な場合に測量や境界確認が必要になることがあります。売却をスムーズに進めるためにも、早めに確認しておくと安心です。
建物の解体費・残置物処分費
古家付き土地として売却する場合や、家財道具を処分する必要がある場合には、解体費や処分費が発生することがあります。
譲渡所得税・住民税
売却によって利益(譲渡所得)が生じた場合は、譲渡所得税や住民税が課税されることがあります。ただし、一定の要件を満たせば「3,000万円特別控除」などの特例を利用できる場合もあります。
事前に資金計画を立てることが重要
売却後に「思ったより手元にお金が残らなかった」とならないよう、売却価格だけでなく、必要となる費用も含めてシミュレーションしておきましょう。不動産会社に資金計画を作成してもらうことで、諸費用や税金を踏まえた現実的な売却計画を立てることができます。
1-5.住宅ローンの残高を確認する
マイホームを売却する前には、現在の住宅ローン残高を必ず確認しておきましょう。不動産を売却する際は、原則として住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消する必要があります。
まずは、金融機関から送付される返済予定表やインターネットバンキングなどで、住宅ローンの残高を確認しましょう。あわせて、一括返済時の金額や手数料についても確認しておくと安心です。
売却価格で住宅ローンを完済できるか確認する
査定価格や売却相場をもとに、売却代金で住宅ローンを完済できるかを確認します。
- 売却価格が住宅ローン残高を上回る場合(アンダーローン)売却代金で住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できます。売却後に残った資金は、住み替え費用や新居購入の頭金などに充てることができます。
- 売却価格が住宅ローン残高を下回る場合(オーバーローン)売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。不足分を自己資金で補う方法や、金融機関と相談して任意売却を検討するケースもあります。
住み替えの場合は資金計画も重要
新しい住まいを購入する予定がある場合は、現在の住宅ローンの完済時期と新たな住宅ローンの借入時期を考慮した資金計画が必要です。自己資金や住み替えローンの利用など、複数の選択肢があるため、早めに不動産会社や金融機関へ相談するとスムーズです。
売却前に確認しておきたいポイント
- 現在の住宅ローン残高
- 一括返済時に必要な金額
- 繰上返済手数料の有無
- 抵当権抹消に必要な手続き
- 売却後に住宅ローンを完済できるか
- オーバーローンの場合の対応方法
住宅ローンの残高を把握しておくことで、売却価格の目安や資金計画を立てやすくなります。売却活動を始める前に確認しておけば、決済時の手続きもスムーズに進めることができるでしょう。
2. 売却成功のために必要な情報収集

2-1. 周辺の売却相場を調べる
マイホームを売却する際は、まず周辺の売却相場を把握することが重要です。相場を知らずに売り出してしまうと、価格が高すぎてなかなか売れなかったり、反対に安く売却してしまったりする可能性があります。
売却相場を調べる際は、不動産会社の査定価格だけでなく、実際に成約した価格も参考にしましょう。国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」では、実際の取引価格や地価、公示地価などを確認できるため、売却価格の目安を把握する際に役立ちます。
また、同じエリアであっても価格はさまざまな条件によって変わります。
- 最寄り駅からの距離
- 築年数
- 専有面積・土地面積
- 間取り
- 日当たりや眺望
- リフォームの有無
- 周辺環境や生活利便性
これらの条件が異なると、売却価格にも大きな差が生じます。そのため、単純に「近くで○○万円で売れていたから同じ価格で売れる」と判断するのではなく、自分の物件と条件が近い成約事例を確認することが大切です。
さらに、売り出し価格と実際の成約価格は異なることも少なくありません。売り出し価格だけでは市場の実勢価格を正確に把握できないため、成約事例を参考にしながら、地域に詳しい不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。
売却相場を正しく把握することで、適正な価格設定ができ、早期売却と高値売却の両立を目指しやすくなります。
2-2.信頼できる不動産会社を選ぶ
マイホームの売却を成功させるためには、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。同じ物件でも、不動産会社によって査定価格や販売戦略、売却までの期間が異なるため、どの会社へ依頼するかが売却結果に大きく影響します。
査定価格が高いという理由だけで依頼先を決めるのはおすすめできません。相場よりも高すぎる価格で売り出すと、買主が見つかりにくくなり、結果として価格を何度も下げることになるケースもあります。そのため、査定価格だけでなく、その価格の根拠や販売方法について丁寧に説明してくれる会社を選ぶことが大切です。
不動産会社を選ぶ際のチェックポイント
- 売却したいエリアで豊富な取引実績がある
- 査定価格の根拠をわかりやすく説明してくれる
- 周辺の成約事例や市場動向を踏まえて提案してくれる
- 販売活動の内容(インターネット広告・レインズ登録・チラシなど)が明確である
- 売却中の状況を定期的に報告してくれる
- メリットだけでなく、デメリットやリスクについても説明してくれる
また、不動産会社と媒介契約を結ぶ際には、「専属専任媒介」「専任媒介」「一般媒介」の3種類があります。それぞれ販売活動や報告義務などに違いがあるため、内容を十分に理解したうえで契約を結びましょう。
複数の不動産会社に相談する
売却を検討し始めたら、1社だけではなく複数の不動産会社へ査定を依頼することをおすすめします。査定価格や販売戦略、担当者の対応を比較することで、自分に合った会社を選びやすくなります。
信頼できる不動産会社は、売主の希望を丁寧にヒアリングし、根拠のある価格設定や適切な販売戦略を提案してくれます。納得のいく売却を実現するためにも、価格だけで判断せず、実績や対応力、説明のわかりやすさなどを総合的に比較して依頼先を選びましょう。
2-3.売却方法(仲介・買取)の違いを理解する
マイホームを売却する方法には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2種類があります。それぞれ特徴やメリット・デメリットが異なるため、自分の売却目的に合った方法を選ぶことが大切です。
「できるだけ高く売りたい」「時間をかけても納得できる価格で売却したい」という方には仲介が向いています。一方、「早く現金化したい」「近所に知られず売却したい」「古い家や売れにくい物件を売却したい」という方には買取が適している場合があります。
仲介とは
仲介は、不動産会社が売主と買主の間に入り、購入希望者を探して売買を成立させる方法です。
市場で販売活動を行うため、相場に近い価格、あるいは条件によっては相場以上で売却できる可能性があります。
仲介のメリット
- 市場価格に近い価格で売却しやすい
- 多くの購入希望者へ物件を紹介できる
- 売却条件を相談しながら進められる
仲介のデメリット
- 買主が見つかるまで時間がかかることがある
- 内覧対応が必要になる
- 売却時に仲介手数料が発生する
買取とは
買取は、不動産会社が直接物件を購入する方法です。買主を探す必要がないため、短期間で売却できるのが大きな特徴です。
また、築年数が古い住宅や再建築不可物件、相続した空き家など、市場では売却しにくい物件でも対応できる場合があります。
買取のメリット
- 短期間で売却・現金化しやすい
- 内覧対応がほとんど不要
- 周囲に知られず売却しやすい
- 契約不適合責任が免除されるケースが多い
- 古い住宅や売れにくい物件でも相談しやすい
買取のデメリット
- 仲介に比べて売却価格が低くなる傾向がある
どちらを選ぶべき?
仲介と買取のどちらが適しているかは、売却の目的によって異なります。
仲介がおすすめの方
- 少しでも高く売却したい
- 売却まで時間に余裕がある
- 人気エリアや需要の高い物件を所有している
買取がおすすめの方
- できるだけ早く売却したい
- 相続した空き家を整理したい
- 築年数が古い住宅や再建築不可物件を売却したい
- 周囲に知られず売却したい
売却方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。不動産会社へ相談し、物件の状況や希望条件を踏まえて、自分に合った売却方法を選ぶことが、満足のいく売却につながります。
2-4. 必要書類を事前に準備する
マイホームをスムーズに売却するためには、必要書類を事前に準備しておくことが大切です。売却活動が始まってから書類を探し始めると、契約や引き渡しが遅れる原因になることがあります。
また、購入希望者に物件の情報を正確に伝えるためにも、建物や土地に関する書類を揃えておくことが重要です。不足している書類がある場合でも、法務局や市区町村、管理会社などで再取得できるものもありますので、早めに確認しておきましょう。
2-5.売却時に必要となる主な書類
登記識別情報(権利証)
売主が所有者であることを証明する重要な書類です。紛失している場合は、司法書士へ相談することで売却できるケースもあります。
本人確認書類
運転免許証やマイナンバーカードなど、本人確認ができる書類を準備します。
固定資産税・都市計画税納税通知書
固定資産税や都市計画税の精算に必要となる書類です。
売買契約書・重要事項説明書
購入時の契約内容や物件情報を確認するために役立ちます。
建築確認済証・検査済証
一戸建ての場合、建築基準法に適合して建築されたことを確認できる書類です。
間取り図・測量図・境界確認書
建物や土地の形状、境界を確認するための資料です。土地の売却では特に重要になります。
設備の取扱説明書・保証書
給湯器やシステムキッチン、エアコンなどの設備がある場合は、取扱説明書や保証書があると買主も安心できます。
リフォーム・修繕履歴
過去にリフォームや修繕を行った場合は、その内容や時期が分かる資料を用意しておきましょう。
マンションの場合に必要な書類
マンションでは、次のような書類も準備しておくとスムーズです。
- 管理規約・使用細則
- 長期修繕計画書
- 管理費・修繕積立金に関する資料
- 総会議事録(ある場合)
書類を事前に揃えるメリット
必要書類を事前に準備しておくことで、査定がスムーズに進むだけでなく、購入希望者からの質問にも迅速に対応できます。また、売買契約や決済時に慌てることがなくなり、安心して売却を進められます。
売却を検討し始めたら、まずは手元にある書類を確認し、不足しているものは早めに再発行や取得の手続きを行いましょう。
3.売主が知っておくべき法律上の責任

3-1. 契約不適合責任とは
マイホームを売却する際に、売主が必ず理解しておきたいのが契約不適合責任です。契約不適合責任とは、引き渡した不動産が売買契約の内容と異なっていた場合に、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。
以前は「瑕疵担保責任」という制度でしたが、2020年4月の民法改正により「契約不適合責任」へ変更されました。現在は、契約書で定めた内容に適合しているかどうかが重要な判断基準となっています。
3-2.契約不適合責任が問題となるケース
次のような不具合が、契約内容と異なる場合には契約不適合責任が問われる可能性があります。
- 雨漏りが発生していた
- シロアリ被害が見つかった
- 給排水設備に故障があった
- 建物の構造部分に重大な欠陥があった
- 土地の面積や境界が契約内容と異なっていた
- 越境物があることが判明した
これらの不具合を売主が知っていたにもかかわらず買主へ伝えていなかった場合は、トラブルにつながる可能性が高くなります。
買主が請求できる内容
契約不適合が認められた場合、買主は状況に応じて次のような請求ができる可能性があります。
- 修補(修理・補修)の請求
- 売買代金の減額請求
- 損害賠償請求
- 契約の解除(重大な不適合の場合)
そのため、売主は契約内容を十分に確認し、物件の状況を正確に伝えることが大切です。
4.売却後のトラブルを防ぐポイント

契約不適合責任によるトラブルを防ぐためには、次の点を意識しましょう。
- 物件の不具合を隠さず伝える
- 修繕履歴やリフォーム履歴を整理する
- 設備表・物件状況報告書を正確に記載する
- 不明な点は不動産会社へ相談する
- 必要に応じてホームインスペクション(建物状況調査)を検討する
売主に悪意がなくても、契約内容と異なる状態で引き渡した場合には責任を負う可能性があります。安心して売却を進めるためにも、物件の状況を正確に把握し、買主へ誠実に説明することが重要です。
4-1. 告知義務と物件状況報告書
マイホームを売却する際、売主には**物件について知っている重要な事実を買主へ伝える「告知義務」**があります。建物や土地に関する不具合や過去のトラブルを隠したまま売却すると、契約不適合責任を問われ、売却後のトラブルにつながる可能性があります。
そのため、売主は物件の状況を正確に伝えるために、「物件状況報告書(告知書)」を作成します。この書類には、建物や設備の状態、修繕履歴、近隣とのトラブルの有無などを記載し、買主が安心して購入を判断できるようにします。
4-2.告知が必要となる主な内容
物件状況報告書には、次のような事項を記載します。
建物の不具合
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 建物の傾き
- 給排水設備の故障
- 外壁や屋根の破損
修繕・リフォーム履歴
- 屋根や外壁の補修
- 水回り設備の交換
- 耐震補強工事
- その他のリフォーム履歴
土地に関する事項
- 境界の確認状況
- 越境物の有無
- 地盤改良工事の有無
- 土地利用に関する制限
周辺環境・近隣との関係
- 境界に関するトラブル
- 騒音や振動などの問題
- その他、売主が把握している重要な事項
知っている事実は正確に伝えることが重要
物件状況報告書は、「知っている内容」を正確に記載することが重要です。知らないことまで調査する義務はありませんが、知っている不具合や過去の修繕履歴を故意に隠したり、事実と異なる内容を記載したりすると、契約不適合責任を問われる可能性があります。
「これくらいなら伝えなくても大丈夫だろう」と自己判断せず、不安な点があれば不動産会社へ相談しながら記載することをおすすめします。
売却後のトラブルを防ぐために
物件状況報告書は、売主と買主がお互いに安心して取引を進めるための大切な書類です。物件の状況を正確に伝えることで、引き渡し後のトラブルを防ぎ、円滑な不動産取引につながります。
売却を進める際は、修繕履歴や設備の状況を整理し、事実に基づいて物件状況報告書を作成しましょう。
4-3.設備表の役割と重要性
マイホームを売却する際には、「設備表」を作成するのが一般的です。設備表とは、建物に設置されている設備の有無や動作状況、不具合の有無などを記載した書類で、売主から買主へ設備の状態を伝える役割があります。
設備表を正確に作成することで、引き渡し後に「エアコンが動かなかった」「給湯器が故障していた」などのトラブルを未然に防ぐことができます。また、買主も設備の状態を把握したうえで購入を判断できるため、安心して取引を進めることができます。
設備表に記載する主な内容
設備表には、住宅に備え付けられている設備について、設置の有無や動作状況を記載します。
水回り設備
- 給湯器
- キッチン
- コンロ
- レンジフード
- 浴室
- トイレ
- 洗面化粧台
電気・空調設備
- エアコン
- 照明器具
- インターホン
- 換気設備
- 火災警報器
その他の設備
- 給排水設備
- テレビアンテナ
- インターネット設備
- カーテンレール
- 郵便受け
- 物置や門扉などの付帯設備
不具合がある場合は正直に記載する
設備表には、「正常に使用できる」「故障している」「不具合がある」など、設備の状態を正確に記載します。
例えば、
- 給湯器のお湯が出にくい
- エアコンの冷暖房の効きが悪い
- インターホンの画面が映らない
など、売主が把握している不具合は隠さず記載することが重要です。
故障を知りながら記載しなかった場合は、引き渡し後のトラブルや契約不適合責任につながる可能性があります。
設備表は売主・買主双方を守る書類
設備表は、設備の状態を明確にすることで、売主と買主の認識の違いを防ぐ役割があります。
売主にとっては、「引き渡し時点での設備の状態」を記録として残せるため、後日のトラブル防止につながります。一方、買主にとっても、設備の状態を事前に確認できるため、安心して購入を判断できます。
マイホームを安心して売却するためにも、設備表は事実に基づいて正確に記載し、不明な点がある場合は不動産会社へ相談しながら作成しましょう。
5.売却前に確認しておきたいチェックリスト

5-1.計画に関するチェック項目
売却計画チェックリスト
□ 売却する目的を明確にしている
(住み替え・相続・転勤・資産整理など)
□ 希望する売却時期を決めている
□ 引き渡し希望日を決めている
□ 売却価格の目標を設定している
□ 住宅ローンの残高を確認している
□ 売却後の資金計画を立てている
□ 売却にかかる諸費用や税金を把握している
□ 売却後の住まいを決めている、または住み替え計画を立てている
□ 家族全員で売却について話し合い、意見を共有している
□ 売却を急ぐのか、高値売却を優先するのか優先順位を決めている
計画を立てるメリット
事前に売却計画を整理しておくことで、売却活動をスムーズに進めることができます。また、不動産会社へ相談する際も希望条件を正確に伝えられるため、自分に合った売却方法や販売戦略を提案してもらいやすくなります。
売却は人生の中でも大きな取引の一つです。焦って判断するのではなく、事前にしっかりと計画を立てることで、納得のいく売却につながるでしょう。
5-2. 情報収集に関するチェック項目
マイホームを納得のいく条件で売却するためには、事前の情報収集が欠かせません。売却相場や不動産会社、売却方法などについて十分に調べておくことで、適正な価格設定や自分に合った売却方法を選びやすくなります。
以下のチェック項目を参考に、売却前の準備ができているか確認してみましょう。
情報収集チェックリスト
□ 周辺の売却相場や成約事例を調べている
□ 複数の不動産会社へ査定を依頼している
□ 査定価格の根拠を確認している
□ 売却方法(仲介・買取)の違いを理解している
□ 信頼できる不動産会社を比較・検討している
□ 売却に必要な書類を確認し、準備を進めている
□ 売却にかかる費用や税金を把握している
□ 不動産売買の流れを理解している
□ 不明な点や不安な点を不動産会社へ相談している
情報収集を行うメリット
十分な情報収集を行うことで、相場から大きく外れた価格設定や、自分に合わない売却方法を選んでしまうリスクを減らすことができます。また、信頼できる不動産会社を見極めやすくなり、売却活動もスムーズに進められます。
マイホームの売却は、大きな資産を扱う重要な取引です。後悔しない売却を実現するためにも、焦って契約を結ぶのではなく、必要な情報を十分に集めたうえで売却活動を始めましょう。
5-3. 法律上の責任に関するチェック項目
マイホームを売却する際は、売主としての法律上の責任を理解しておくことが大切です。建物や土地の状況を正確に買主へ伝え、必要な書類を適切に作成することで、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。
以下のチェック項目を参考に、契約前に確認しておきましょう。
法律上の責任チェックリスト
□ 契約不適合責任の内容を理解している
□ 雨漏りやシロアリ被害など、把握している不具合を整理している
□ 過去のリフォーム・修繕履歴を確認している
□ 物件状況報告書(告知書)を事実に基づいて作成している
□ 設備表を作成し、設備の有無や動作状況を確認している
□ 境界や越境物の有無を確認している
□ 建物や土地に関するトラブルや近隣との問題がないか確認している
□ 必要に応じてホームインスペクション(建物状況調査)を検討している
□ 不明な点や判断に迷う事項は、不動産会社へ相談している
法律上の責任を理解するメリット
売主としての責任を理解し、物件の状況を正確に伝えることで、引き渡し後のトラブルを防ぎやすくなります。また、買主との信頼関係が築きやすくなり、安心して売買契約を進めることができます。
契約不適合責任や告知義務は、不動産売却において重要なポイントです。「知らなかった」「伝え忘れていた」では済まされない場合もあるため、契約前に物件の状況を整理し、必要書類を正確に作成しておくことが、円滑な不動産取引につながります。
6.よくある質問(FAQ)

6-1. 売却前にリフォームは必要ですか?
必ずしもリフォームをする必要はありません。
中古住宅を購入する人の中には、自分の好みに合わせてリフォームやリノベーションを前提に物件を探している方も多く、大規模なリフォームを行っても、その費用を売却価格へ十分に上乗せできるとは限りません。
一方で、壁紙の汚れや破れの補修、室内の清掃、水回りの簡単なメンテナンスなど、比較的費用のかからない修繕やハウスクリーニングは、内覧時の印象を良くし、早期売却につながる可能性があります。
また、雨漏りや給排水設備の故障など、生活に支障を及ぼす不具合がある場合は、そのまま売却するのではなく、不動産会社へ相談したうえで修繕するか、物件状況報告書(告知書)で買主へ正確に伝えることが重要です。
売却前にリフォームを行うかどうかは、物件の状態や市場の状況によって異なります。まずは不動産会社へ査定を依頼し、「リフォームをした方がよいのか」「現状のまま売却した方がよいのか」についてアドバイスを受けてから判断するとよいでしょう。
6-2.査定は何社くらい依頼すればよいですか?
不動産を売却する際は、3~5社程度の不動産会社へ査定を依頼するのがおすすめです。
1社だけの査定では、その査定価格が適正かどうか判断することが難しくなります。複数の不動産会社へ依頼することで、査定価格や価格の根拠、販売戦略、担当者の対応などを比較でき、自分に合った会社を選びやすくなります。
ただし、査定価格が最も高い会社を選べばよいというわけではありません。 相場とかけ離れた高い査定価格を提示すると、売却開始後に買主が見つからず、何度も価格を下げることになるケースもあります。
不動産会社を選ぶ際は、次のような点を比較しましょう。
- 査定価格に明確な根拠があるか
- 売却したいエリアでの実績が豊富か
- 販売活動の内容を具体的に説明してくれるか
- メリットだけでなく、リスクや注意点も説明してくれるか
- 質問に対して丁寧で迅速に対応してくれるか
また、査定には、周辺の取引事例などをもとに価格を算出する机上査定(簡易査定)と、実際に現地を確認して査定する訪問査定があります。売却を本格的に検討している場合は、より精度の高い訪問査定を依頼するとよいでしょう。
複数の査定結果を比較しながら、価格だけでなく、担当者の信頼性や販売力も総合的に判断することが、納得のいく売却につながります。
6-3.売却後に不具合が見つかったらどうなりますか?
売却後に建物や設備の不具合が見つかった場合は、その内容や売買契約の条件によっては、売主が契約不適合責任を負う可能性があります。
例えば、引き渡し後に次のような不具合が見つかった場合は、契約不適合責任が問題となることがあります。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 給排水設備の故障
- 建物の構造部分の欠陥
- 土地の境界や面積の相違
- 越境物の存在
このような場合、買主は状況に応じて、修補(修理)請求、売買代金の減額請求、損害賠償請求、契約の解除などを求めることができる可能性があります。
ただし、すべての不具合について売主が責任を負うわけではありません。売買契約で契約不適合責任の範囲や期間が定められていることが多く、また、買主が契約前に説明を受けて了承していた不具合については、通常は契約不適合責任の対象になりません。
売却後のトラブルを防ぐためには、次の点を心がけることが重要です。
- 知っている不具合を隠さず買主へ伝える
- 物件状況報告書(告知書)を事実に基づいて作成する
- 設備表に設備の状態を正確に記載する
- 修繕履歴やリフォーム履歴を整理しておく
- 不明な点は不動産会社へ相談する
物件の状況を正確に説明し、必要書類を適切に作成しておくことで、引き渡し後のトラブルを防ぎやすくなります。安心して売却を進めるためにも、契約前に不動産会社と契約内容や責任の範囲を十分に確認しておきましょう。
6-4. 住宅ローンが残っていても売却できますか?
はい、住宅ローンが残っていてもマイホームを売却することは可能です。 ただし、売却時には原則として住宅ローンを完済し、金融機関が設定している抵当権を抹消する必要があります。
まずは現在の住宅ローン残高を確認し、売却価格で完済できるかを把握しましょう。
売却価格で住宅ローンを完済できる場合(アンダーローン)
売却代金で住宅ローンを完済できる場合は、決済時にローンを一括返済し、抵当権を抹消して買主へ引き渡します。
このケースでは、売却代金から諸費用や住宅ローン残高を差し引いた残りが手元に残り、住み替え費用や新居購入の頭金などに充てることができます。
売却価格で完済できない場合(オーバーローン)
売却価格が住宅ローン残高を下回る場合は、売却代金だけでは住宅ローンを完済できません。
このような場合は、
- 自己資金で不足分を支払う
- 住み替えローンを利用する
- 金融機関と相談し、任意売却を検討する
などの方法があります。
売却前に確認しておきたいポイント
住宅ローンが残っている場合は、次の点を事前に確認しておくと安心です。
- 現在の住宅ローン残高
- 売却後に住宅ローンを完済できるか
- 一括返済手数料の有無
- 抵当権抹消登記に必要な手続き
- 売却後の資金計画
- 新居を購入する場合の住宅ローン計画
住宅ローンが残っていても、多くのケースで売却は可能です。ただし、住宅ローン残高や売却価格によって進め方が異なるため、早めに不動産会社や金融機関へ相談し、自分に合った売却方法を検討することが大切です。
7.まとめ
マイホームの売却を成功させるためには、「計画」「情報収集」「売主の法律上の責任」の3つを事前に確認しておくことが欠かせません。
売却の目的やスケジュールを整理し、相場や売却方法を把握したうえで、契約不適合責任や告知義務など売主としての責任を理解しておけば、安心して売却活動を進めることができます。
また、不動産会社選びも売却結果を左右する重要なポイントです。地域の市場に詳しく、売却実績が豊富な会社へ相談することで、適切な売却戦略を立てやすくなります。
大切なマイホームを納得できる条件で売却するためにも、事前準備をしっかり行い、不安や疑問は早めに専門家へ相談しましょう。










