最近では、生前贈与への関心が高まってきている事もあり、相続時精算課税制度にも注目が集まっています。
しかし、相続時精算課税制度を利用する事によって、どのようなメリットがあるのか具体的に分からないという人も多いでしょう。
そこで今回は、相続時精算課税制度のメリットというテーマで、デメリットや条件なども踏まえながら詳しく解説していきたいと思います。
生前贈与などを検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
相続時精算課税制度のメリットとは?
それでは早速、相続時精算課税制度のメリットについてご紹介していきましょう。
2,500万円まで非課税で贈与する事が出来る
まず1つ目のメリットは、2,500万円まで非課税で贈与する事が出来るという事です。
相続時精算課税制度の最大のメリットと言えるのが、2,500万円まで非課税で贈与する事が出来るという大型控除です。
生前に、子どもや孫に2,500万円の贈与をしたい場合、相続時精算課税制度を利用する事によって2,500万円まで贈与税がかからなくなるのです。
これを通常の贈与を選択した場合、暦年贈与の控除は年間で110万円までしか適用されないので、大きなメリットと言えるでしょう。
超過分も一律20%しか課税されない
2つ目のメリットは、超過分も一律20%しか課税されないという事です。
一般的な贈与の場合は、2,500万円以上の金額に対して、税率が45~55%もかかる事になりますが、相続時精算課税制度を利用すると、超えた分に対してだけ一律20%の贈与税が課税される事になります。
生前に多くの贈与をする事が出来る
そして3つ目のメリットは、生前に多くの贈与をする事が出来るという事です。
生前に特定の人に財産を贈与したい場合、相続時精算課税制度を利用する事によって多くの贈与をする事ができ、財産分与による争いを防ぐ事が出来るのです。
そのため、贈与者に財産の相続配分に希望をある場合は、相続時精算課税制度を利用した方がメリットが大きいです。
相続時精算課税制度のデメリットとは?
では次に、相続時精算課税制度のデメリットについて解説していきたいと思います。
一度利用すると暦年贈与が使えなくなる
まず1つ目のデメリットは、一度相続時精算課税制度を利用すると暦年贈与が使えなくなるという事です。
相続時精算課税制度を利用すると、暦年贈与非課税枠の110万円が一生使えなくなるという最大のデメリットがあります。
しかしこれは、同じ贈与者からの贈与にのみ適用される制度ですので、他の贈与者からの贈与の場合は、選択する事が出来ます。
贈与税の申告が必要
2つ目のデメリットは、必ず贈与税の申告が必要という事です。
相続時精算課税制度は、金額の大きさに関係なく税務署への申告義務が発生します。
そのため、相続時精算課税制度を利用する際は、贈与税の申告書や相続時精算課税制度選択届書を税務署に提出します。
小規模宅地等の特例が使えなくなる
3つ目のデメリットは、小規模宅地等の特例が使えなくなるという事です。
相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、その土地には小規模宅地等の特例が使えなくなります。
登録免許税や不動産取得税の負担が増える可能性がある
そして4つ目のデメリットは、登録免許税や不動産取得税の負担が増える可能性があるという事です。
登録免許税や不動産取得税は、生前贈与時の負担が増える代表的な税と言えます。
例えば、相続時に不動産を贈与した場合、登録免許税は0.4%となっていますが、生前贈与の場合は登録免許税が約5倍の2.0%かかる事になります。
これにプラスして、様々な税金がかかってきますので、費用負担が大きくなる可能性があるのです。
相続時精算課税制度の利用条件
それでは最後に、相続時精算課税制度の利用条件について解説していきたいと思います。
相続時精算課税制度を利用するためには、下記の条件を満たしている必要があります。
・直系尊属からの贈与であること
・贈与を受ける人は20歳以上の子・孫のみ
まず、直系尊属からの贈与であるという事が条件として挙げられます。
そして、贈与をした年の1月1日の時点で、60歳以上のご両親または祖父母である事という事が条件です。
さらに、贈与を受ける人は、贈与を受けた年の1月1日の時点で20歳以上の子または孫である事が条件となります。
まとめ
さて今回は、相続時精算課税制度のメリットというテーマで、デメリットや条件なども踏まえながら詳しく解説してみました。
生前贈与は、メリットの多い制度を効果的に利用する事で、相続に関する争いを防ぐ事が出来ます。
多くの財産を贈与したい場合の選択肢として、相続時精算課税制度は非常にメリットの多い制度と言えるでしょう。
特定の相手に贈与したいと考えている人は、ぜひ相続時精算課税制度の利用を検討してみてくださいね。