最近では、特定の人物に財産を相続させるために、生前贈与を検討している人が増えてきていますよね。
その中でも、相続時精算課税制度は非常に注目されているものですが、相続に関しては起こりやすいトラブルも想定しておく必要があります。
そこで今回は、相続時精算課税制度でありがちなトラブルというテーマで、詳しく解説していきたいと思います。
相続時精算課税制度の利用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
相続時精算課税制度の利用でありがちなトラブル
それでは早速、相続時精算課税制度の利用でありがちなトラブルをご紹介していきたいと思います。
想定されるトラブルを知っておく事で、早めに対処する事が出来ます。
他の相続人に贈与を受けた事が知られる
まず1つ目は、他の相続人に贈与を受けた事が知られるという事です。
相続時精算課税制度による贈与は、贈与を受けた事が他の相続人に知られるので、遺産分割争いトラブルの原因になってしまう可能性があります。
相続時精算課税制度を利用した贈与は、相続税の対象となり贈与の事実が相続税申告書に記載されます。
そのため、他にも相続人がいる場合は、トラブルにならないように注意が必要なのです。
基本的には節税の効果はない
2つ目は、基本的には節税の効果はないという事です。
相続時精算課税制度で贈与を受けた財産は、相続税の対象になるため時価が変わらない預金のような財産の場合は、相続税の課税価格は変わりません。
通常の暦年課税による贈与の場合は、贈与後に3年経過すると相続税の課税価格が減少して節税効果が出てくるので、相続時精算課税制度との違いを知らないとトラブルの原因になる可能性があります。
他の相続人の相続税負担が重くなる
3つ目は、他の相続人の相続税負担が重くなるという事です。
相続時精算課税制度を選択した場合、贈与した財産が相続税の対象となりますが、相続税の総額は相続財産の額と法定相続人によって決まります。
相続税の総額は、財産が多いほど税率が高くなるので、相続時に加算される財産のために相続税の総額が上がってしまうのです。
時価が下がっても贈与時の価格で課税になる
4つ目は、時価が下がっても贈与時の価格で課税になるという事です。
相続時精算課税制度は、贈与時の評価額によって相続税が課税されるので、自宅建物のように、時間の経過とともに価値が下がっていく財産の場合、不利になってしまう事があるので注意が必要です。
税制改正で不利益が出る可能性がある
5つ目は、税制改正で不利益が出る可能性があるという事です。
将来の税率というのは、非常に不確実なものですよね。
現在の少子高齢化や、膨らみ続ける社会保障費などを考えると、相続税は増加傾向にあると考えた方が良いでしょう。
そのため、将来相続税がかかる見込みがないからと、安易にまとまった金額を短期間で相続時精算課税制度で贈与すると、後々トラブルになる可能性があるので注意が必要です。
暦年贈与が使えなくなる
そして6つ目は、暦年贈与が使えなくなるという事です。
相続時精算課税制度で贈与を行った場合、それ以降の贈与は全て相続時精算課税制度で贈与する事になります。
暦年贈与に戻す事は出来ないので、知らないまま相続時精算課税制度で贈与をしてしまうとトラブルになってしまう可能性があります。
相続時精算課税制度のトラブルを避けるための注意点
では次に、相続時精算課税制度のトラブルを避けるための注意点を解説していきたいと思います。
相続時精算課税制度は、一度選択してしまうと取り消すことが出来ません。
そのため、相続時精算課税制度での贈与を検討していたとしても、後々トラブルにならないために暦年贈与と比較した上で選択するようにしましょう。
また、相続時精算課税制度で贈与した財産は、相続税の対象となるためしっかりと将来的なシミュレーションをしておく事が重要です。
先ほども解説した通り、今後の税率は不確定な部分が大きいので、大きな金額の財産を贈与できるからと、簡単に相続時精算課税制度で贈与してしまうと、後々相続税負担が重くなってしまう可能性があります。
トラブルになりうるデメリットをしっかり確認した上で、選択する事が重要でしょう。
まとめ
さて今回は、相続時精算課税制度でありがちなトラブルというテーマで、詳しく解説してみました。
メリットが多いと言われている相続時精算課税制度ですが、デメリットがないわけではありません。
実際に、デメリットを知らないまま相続時精算課税制度を選択して、トラブルに発展してしまうケースもあります。
生前贈与を検討している人は、ぜひ今回ご紹介したありがちなトラブルを参考にしてみてくださいね。