共同住宅や共同オフィスなどは敷地権という権利が付けられています
共同住宅の場合は1つの土地に複数の住戸・オフィッスがあるために、土地には所有権ではなく敷地権という権利がつけられています
共同住宅は所有権ではなく敷地権という権利になります
ただ、当初は所有権でしたが共同住宅という性格上不具合がでてきて、敷地権という形になりました
敷地権について解説します
敷地権とは?
敷地権は土地と建物が一体化
区分所有建物が建っている敷地(法定敷地)そして一体として管理使用され規約に定められた敷地(規約敷地)と呼び、不動産登記法上の要件を備えたものを敷地権といいます
区分建物と敷地利用権を別々に処分することで権利関係を複雑にするため、区分建物と敷地利用権を一体で処分することを原則に義務付けています
登記簿謄本で「敷地権である旨の登記」がされている場合は区分建物と敷地利用権を一体で処分することになっています
もともと、建物が一つの共同住宅で土地と建物を分けて売却することで、利用制限がかかりトラブルの原因にもなるためです
※戸建の場合は土地・建物は別々の不動産として登記されているので別々に取引することもあります
敷地権付きでない区分建物も存在します!
建物の登記簿謄本を取得した時に敷地権という項目がなければ敷地権がついていない区分建物になります
その場合は土地の登記簿謄本を取得すると土地が区分所有者で共有になっている場合があります
共有になっていると土地の登記簿謄本は膨大なものになり、すべての共有者が土地の登記簿謄本に上がってきます
敷地権の歴史
日本経済の発展とともに日本の都市部にはマンションや共同住宅が多く建てられてきました
そのために所有権ではトラブルが頻発することによって法律が制定ています
1962年『建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)』制定
第一章 建物の区分所有第一節 総則(1 – 10条)第二節 共用部分等(11 – 21条)第三節 敷地利用権(22 – 24条)第四節 管理者(25 – 29条)第五節 規約及び集会(30 – 46条)第六節 管理組合法人(47 – 56条)第七節 義務違反者に対する措置(57 – 60条)第八節 復旧及び建替え(61 – 64条)第二章 団地(65 – 70条)第三章 罰則(71・72条)附則 |
1963年に施行されてからマンションは共有物という考え方が生まれました
部屋は所有物で敷地・共用部分は敷地権という考え方になりましたが、敷地権と所有権を別々に売却することでトラブルはあったようです
この時代はまだマンションの戸数が5,000戸しかない時代になりますので、あまり大きな影響がでなかったようです
1983年建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)』の大改正
専有部分と敷地利用権との分離処分の禁止登記簿への敷地権の表示の登記集会主義の徹底管理組合の法人化建て替え決議 |
などが改正されています
2002年建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)』の改正
共用部分の重大変更の定義の見直し管理者の権利拡大規約の適正化IT化建替決議の合理化 |
老朽化したマンションも増えてきたので、建て替えがスムーズに進むように改正されています
敷地権のQ&A敷地権の割合は調べ方?
敷地権割合の計算式
専有面積÷建物のすべての専有面積の合計=敷地権の割合 |
になりますが、登記簿謄本で確実に調べることができます
下記の登記簿謄本では4分の1と確認することができます
敷地権の種類はどのようなものがある?
分譲マンション・分譲店舗などで建物は所有権で土地は他人のものという場合もあります
敷地権すべておなじ権利という訳ではなく
登記簿謄本の表示の部分に所有権・賃借権・地上権というような記載があります
つまり
敷地権 所有権敷地権 賃借権敷地権 地上権 |
と敷地権にも種類があります
敷地権と敷地利用権の違いは?
敷地権は敷地利用権の権利の中で登記されている権利になります
登記できる権利 所有権 地上権 賃借権登記できない権利 使用貸借 |
敷地利用権は「建物の区分所有等に関する法律」の考えで専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利ということになります
敷地権は敷地利用権の一定の条件である「不動産登記法」の考えになります
1983年(昭和58年)の区分所有法改正によって、建物の専有部分と敷地利用権は原則として分離処分できないことになりました
「分離処分が禁じられた敷地利用権」が敷地権となりました
まとめ
いかがでしたでしょうか
不動産登記法上の敷地権という権利が生まれて土地と建物が一体で取引されるようになりました
また、すべての建物が敷地権付き区分所有というわけではないということですね
共同住宅の権利を調べるときは、敷地権についても必ず知っておきたいことになります