不動産売買契約の手付金を決済前に流用すること危険性

不動産売買契約の手付金を決済前に流用すること危険性

不動産売買契約で受け取った「手付金」を、残代金の決済(引き渡し)前に使ってしまうことはかなりリスクが高いです

「法律で禁止されているわけではありませんがプロとしては絶対にお勧めしない」

「自分のお金になったんだから何に使おうと自由じゃないか」という誘惑に駆られるかもしれませんが、このお金には「契約が白紙になったら返さなければならない」という重い鎖がついているからです。

どうしても流用されたいいのであれば危険性を理解してから行動されてはいかがでしょうか


1. なぜ「流用」が危ないのか?

手付金は、決済時には売買代金に充当されますが、それまでは「預かっている」に近い性質を持ちます。以下の事態が起きたとき、手付金は「即座に現金で」返還(または倍返し)する必要があります。

  • ローン特約による解除: 買主のローン審査が落ちた場合、無条件で手付金を全額返さなければなりません。
  • 手付解除: 買主が「やっぱりやめた」と言ってきた場合、手付金を放棄されますが、逆に売主から「やっぱり売るのをやめた」と言う場合は、手付金を倍にして返さなければなりません(倍返し)。
  • 契約違反(違約): 万が一、売主側の落ち度で契約が履行できなくなった場合、違約金とともに手付金を返還します。

もしこの時にお金を使ってしまっていて、「返せません」となったら……?

それは契約違反どころか、最悪の場合「横領」に近いトラブルに発展し、損害賠償請求の対象になります。


2. 「売主」と「仲介業者」でルールが違う

立場によって、この行為のヤバさは変わります。

立場扱いとリスク
個人の売主自分の口座に入ったお金なので、使うこと自体は自由。ただし、契約解除時に返せないと破滅的なトラブルになります。
不動産会社(売主)宅建業法により、一定額(代金の10% or 1,000万円)を超える手付金を受け取る際は**「保全措置(銀行などの保証)」**が義務付けられています。
仲介業者預かっている手付金を会社の運転資金に回すのは一発アウト(宅建業法違反・業務停止処分)です。

3. どうしても使いたい場合の考え方

もし、引っ越し費用や新居の契約金に充てたいという場合は、以下の条件をクリアしているか自問自答してみてください。

  • 「手付解除の期日」を過ぎているか?契約書に記載された「手付解除期日」を過ぎていれば、買主が自己都合でやめるリスクは減ります。
  • 「ローン特約の期限」を過ぎているか?ローン審査が通った後であれば、白紙撤回の可能性はかなり低くなります。
  • 万が一の時、他から工面できるか?手付金を使い切っても、親戚から借りるなり貯金があるなり、**「返還義務が生じた時に即座に払える」状態をキープしておくのが大原則です。

マチ不動産からの忠告

「手付金は決済の日まで、なかったものとして忘れておく」のが、不動産取引を成功させる鉄則です。

特に、抵当権抹消にお金が必要な場合などは、手付金を流用するのではなく、銀行のつなぎ融資などを検討する方が健全です。

もし今、「この手付金を使ってしまおうかな……」と迷っている具体的な事情(引越し代の支払いなど)があれば、「契約書の解除条件」を確認しながら、いつからなら比較的安全に動かせるか

契約書・重要事項説明書を確認する必要があります

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この記事を書いた人

マチ不動産株式会社代表。神戸市東灘区出身。中堅マンションディベロッパーで新築マンションの販売・収益不動産の取引、仲介不動産の所長を経験後、2007年8月に独立開業して現職に至る

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